日中関係「我慢の一年」 木寺・駐中国大使

北京=倉重奈苗】今月で就任1年を迎える木寺昌人駐中国大使(61)が北京で記者会見し、日中関係について「特に政治面の関係が依然として厳しいものがあり、私もひしひしと感じている」と述べ、「我慢とアクション(行動)の一年だった」と振り返った. 木寺氏は、昨年9月の日本政府による尖閣諸島(沖縄県)国有化以降、日中関係が最悪の状態にあることに懸念を示し、「各種イベントにも大使の出席はやめて欲しいという雰囲気があり、いろんな意味で我慢してきた」と語った. その一方で、「ここ数カ月は経済、文化、地方間、青少年交流を積極的に進めるべきだと中国側からメッセージが出てきている」と歓迎. その上で、中国が先月、東シナ海防空識別圏(ADIZ)を設定したことを「経済、文化などの分野で改善の兆しが少し見えていた矢先に行われ、前向きな流れに水を差すものだ」と批判した. ただ、防空識別圏設定後も経済分野などへの「影響はない」との見方も示した. 首脳会談の見通しについては「中国にはハイレベルにおける直接の意思疎通が必要だと訴えてきた. 中国側にも同様の姿勢を大いに期待している」と強調. 個別の問題が両国関係全体に影響を及ぼさないように努力すべきだ、と訴えた.