施政方針演説―明るさの裏側には?: 朝日

第2次安倍政権になって2度目の通常国会が召集された. 6月までの会期中に、消費税率が引き上げられる. 原発の再稼働や、集団的自衛権の行使容認の是非も議論される. 日本の針路にかかわる重いテーマがひかえている. 論戦に臨む安倍首相がきのうの施政方針演説でみせたのは、表向きの明るさだった. 「やれば、できる」. 首相はこの言葉を4回繰り返した. 次の東京五輪を、日本が生まれ変わるきっかけとする. 東日本大震災の被災者の住まいを一日も早く再建する. こうした文脈の中でのことだ. 衆参のねじれを解消した首相が「やれば、できる」と意を強くするのはわからないでもない. 演説を貫いたのは、日本の未来への楽観的なトーンだ. 指導者が明るい未来を語ることに意味はある. だが、どうにも違和感をぬぐえない. 首相が力を入れる経済では「三本の矢によって、長く続いたデフレで失われた自信を取り戻しつつある」として、「景気回復の実感を、全国津々浦々にまで届けようではありませんか」と呼びかけた. そうなってほしい. ただ、多くの国民には、目の前に迫った消費税アップが気にかかる. 支出をどう切り詰めるか、売り上げへの悪影響をどう防ぐか. 多くの家庭や企業が頭を悩ませているのが実情だろう. 一方、増税が医療・介護や子育て支援の充実に本当につながっていくのか. お年寄りや小さな子どもがいる世帯にとって、これもまた切実な問題だ. nike air max skyline 首相は消費税対策について、5・5兆円の補正予算などの経済対策で「持続的な経済成長を確保する」という. その実体は公共事業頼みのバラマキ予算だ. こんな旧態依然の金遣いで、ますます難しくなる社会保障の受益と負担のバランスをとっていけるのか. 疑問は尽きない. 首相は教育改革や女性の積極登用を具体的に語る一方で、原発集団的自衛権については深入りを避けた. 例えば原発では「原子力規制委が定めた厳しい安全規制を満たさない限り、再稼働はない」と、これまでの見解をなぞっただけだ. 東京都知事選の投票日までは「触らぬ神にたたりなし」という姿勢だとしたら、不誠実と言われてもしかたあるまい. 首相が多くを語らなかったことこそ、もっとも議論されるべき課題だ. そこをごまかして、なんのための国会だろう. ぶるふぇす2012 -らいおっとさまー